| 技法 | 油彩、キャンバス |
| サイン | 裏面にサイン、年代 裏面木枠に作家シールおよびシール「佐谷画廊」 |
| 額 | 額装 |
| サイズ | 73.0×50.0 cm |
| 制作年 | 1960 |
《Work C-39》は、1960年に制作されたキャンバス・油彩作品であり、同作家を代表するストライプ構図を示す重要作である。とりわけ1960年前後の作品群は、山田正亮の造形的探究が本格的に結実した時期として評価されている。本作においても、画面全体を貫くストライプの構成と抑制された色調のなかに、緊張感ある秩序が明確に示されている。単純な反復に見える構図でありながら、線幅や色のわずかな差異が画面にリズムを与え、静謐でありながら強い存在感を放つ点が本作の大きな魅力である。
初期のストライプは線幅が不均一で、部分的に油絵具がわずかに垂れるなど、制作行為の痕跡が画面上に残されている点に特徴がある。こうした揺らぎや偶然性を内包するストライプは、後年の均質で統一されたストライプ表現と比べ、より生々しい造形的緊張を備えており、山田正亮の思考と手の動きが直接的に可視化された段階の作品として、現在ではとりわけ高い評価を受けている。
山田正亮は1929年に東京に生まれ、戦後間もない時期から独学的に制作を始めた。初期には具象的なモチーフも扱ったが、やがて対象表現から距離を置き、色面と線による構成的な表現へと向かう。1950年代後半からは、連続する線や帯状の形態を用いた抽象表現に本格的に取り組み、1960年前後には「Work」シリーズとしてストライプを基本構造とする作品群を展開した。その後も生涯にわたり同一の主題を継続し、色彩、線幅、画面構成の微細な差異を通じて、絵画という行為そのものの可能性を徹底的に追究した。
近年、山田正亮は日本国内にとどまらず海外においても再評価が進み、戦後抽象絵画史における独自の位置づけが明確になりつつある。長期にわたり一貫した制作態度を貫いた姿勢は、ミニマル・アートやコンセプチュアルな表現とも共鳴するものとして捉えられ、国際的な文脈の中で紹介される機会が増えている。反復と差異という極めて純粋な造形原理を通して視覚体験の本質に迫ろうとした山田正亮の試みは、現在においてもなお新鮮な意義を持つ。