| 技法 | 青銅、酸化真鍮線 |
| サイズ | h39.0×w40.0×d35.0 cm |
| 制作年 | 2020 |
本作『In the Hand』は、塩田千春が存在、記憶、人間の感情を深く探求した作品である。作品の中心には写実的な青銅の手があり、無数の細い酸化真鍮線で構成された複雑なネットワークを静かに支えているかのように見える。これらの金属線は、混沌としていながら有機的な幾何学的形態を形成し、思考の流れや感情の絡まりを想起させ、個人の内面世界の脆弱さと複雑さを象徴している。
青銅の手の堅固さと、金属線の繊細さとの対比は、力と脆さ、掌握と無秩序との微妙な関係を示唆する。鑑賞者は、人間の存在感や手の働き、個と外界とのつながりを想起するだろう。塩田は、素材と形態の交錯を通じて抽象的な心理状態を具現化し、この作品は単なる彫刻にとどまらず、記憶・感情・生命力について思索する空間となっている。